- 創業計画書の書き方が分からない
- 不動産業の例題がないのでサンプルが見たい
- 実際に融資が通った創業計画書を見たい
これから不動産業を開始する際には、事務所の借入や宅地建物取引業の申請など、やらないと行けない事が非常に多いです。
その中でも、重要になってくるのが創業融資ですが、創業融資を受けるためには必ず創業計画書を作成しないといけません。
私の場合、日本政策金融公庫にて創業融資を行いましたが、500万円の融資を面談後わずか3日間で確定させました。
なぜ最短で結果を出せたかというと、それは言うまでもなく創業計画書をしっかりと書いたからです。
私自身の体験談のみとなりますが、やはり創業計画書の中身によって融資の可否は決まってくると感じています。
とはいえ正直、開業と同時進行で行わないといけないので、かなり苦労しました。
あなたには少しでも不動産業の開業に関する労力を減らしてほしいので、実際に私が書いた創業計画書の書き方を教えます。
詳しい内容については、コンサルティング依頼を受けた方のみ教えているので、お困りの場合は下記よりお問い合わせください。
日本政策金融公庫の雛形を利用
私が創業融資を受ける際に利用した創業計画書は、日本政策金融公庫から出されている雛形を利用しました。
自身で作成しても良いですが、担当者も見慣れている雛形のほうがお互い分かりやすいので利用しましょう。
全体像は創業計画書+追加資料
創業計画書を書くにあたって、覚えてほしいことがあります。
それは創業計画書だけではなく、追加資料まで作成することです。
何故ならA3サイズですし項目が沢山あるので、創業計画書だけでは事業内容やあなたの魅力を伝えられないからです。
もちろん面談で魅力を伝えることもできますが、時間が限られている中で全てを伝えることは出来ません。
比較的時間の取れる創業計画書作りで、事業内容やあなたの事を80%程度伝えられるようなイメージで作成しましょう。
希望額を融資してもらうためには創業計画書作成が一番重要だと理解した上で次に進めてください。
私の経歴・事業内容
では、まず創業計画書を書く上で大事になってくる経歴と事業内容について伝えていきます。
私の経歴
- 売買仲介業6年7ヶ月
- 1年目で全国チェーンの新人部門2位
- 4年目で全国チェーンの仲介件数部門全国13位
- 開業直前1年間は広告宣伝費0円で1,300万円を超える売上
私が行うメイン事業
- 不動産売買仲介業
- 買主の集客は、ほぼ自動で可能
- 広告宣伝費もかからない
- 安定的な売上が可能(実績あり)
その他の事業
- 平均単価40万円の紹介業
- 不動産コンサルティング業
私の場合、創業計画書を書く上でアピール出来る実績を作れていたので、事前に不動産業を経験していて良かったと感じました。
もちろん未経験でも開業は可能ですが、不動産売買を行うなら開業前に経験しておきましょう。
創業計画書の目的
ここでいきなり創業計画書の説明に入ってもいいですが、まずは一度、創業計画書をなぜ書くのか?という目的を知りましょう。
私の中では大きく3つあります。
- 自分の事業内容を自分で理解するため
- 自分の事業内容を冷静に見直すため
- 自分の事業内容を魅力的に伝えるため
創業計画書の中身は正直、走り出してもいないので空想です。
ただ、自分の中に確かにある事業内容を理解し、冷静に見直し、伝えるために創業計画書を書くものだと思っています。
創業計画書の雛形(右上)にも書かれていますが、担当者は面談時間の短縮するために事前に創業計画書に目を通しています。
担当者に味方になってもらうためにも創業計画書を練りに練って魅力あるものに仕上げていきましょう。
創業計画書の内容
では、これから創業計画書の内容について伝えていきます。
創業計画書の書き方には答えはありませんが、私が書いた時にはサンプルが一切ありませんでした。
その時に実例があればすごく助かったと感じたので、これから不動産業を開業するなら必ず参考になります。
ちなみに、私はこの創業計画書で融資面談後、たった3日で融資確定しましたので方向性としては間違っていないはずです。
創業の動機
では、まずは創業の動機ですが、雛形には以下の内容が書かれています。
創業されるのは、どのような目的、動機からですか
これから自分が代表として会社を運営していくので目的や動機は必ず存在します。
創業計画書には記入欄が4行あるので、箇条書きで4つ埋めて代表者の想いを伝えましょう。
私が書いた創業の動機
- これまで売買仲介を6年間行ってきた経験を活かすため
- 広告宣伝費をかけずに集客できる仕組みが出来たため
- 自分の知識をもとにコンサルティングをしたいため
- 平均単価40万円の紹介業が出来る仕組みが出来たため
経営者の略歴等
次は経営者の略歴等ですが、以下のように書かれています。
略歴については、勤務先名だけではなく、担当業務や役職、身につけた技術等についても記載してください
担当者はあなたの経歴を見ますが、それ以上に何をしてきたのかを見たいと思っているので上記のような注意書きがあると感じます。
とはいえ、創業計画書には6行しか記入する場所がありませんので、6行には職歴を書いて追加資料で詳細を書いていきましょう。
※追加資料については下記にて解説します
略歴の書き方
- 平成○年○月:〇〇高校 卒業
- 平成○年○月:〇〇株式会社 入社 ○年間勤務
- 平成○年○月:株式会社〇〇 入社 ○年間勤務
- ※別添資料1 参照
過去の事業内容
ここでは、過去に事業をしたことがあるか否かを記入します。
サラリーマンからの開業であれば「事業を経営していたことはない」にチェックを入れましょう。
他に事業を行っている場合は事業内容を書かないといけませんが、その他事業が開業後2年を超えていると注意が必要です。
創業融資は開業後2年以内が条件なので、状況によっては融資を受けられない可能性も出てきます。
どうしても気になる場合は、匿名で良いので日本政策金融公庫に電話して確認しておきましょう。
取得資格
私は宅地建物取引士証を保有していたので、登録番号を記載しました。
これから不動産業を行うのであれば、代表者が宅建士を持っていたほうが手続きが楽ですし費用も削減できます。
知的財産権等
こちらには宅地建物取引業について記入しますが、チェック項目が2つあります。
- 申請中
- 登録済
基本的に創業融資は宅地建物取引業の申請後〜許可が下りる前に行うので1番の申請中にチェックしましょう。
取扱商品・サービス
次は取扱商品・サービスを記入する欄です。事業内容の肝になるポイントなので一番重要項目です。
取扱商品・サービスの内容
ここでは取扱商品とサービス内容を書きますが、雛形では3行しかありません。
そのため、以下の3つを記入しました。
- 売上の項目
- 売上の平均単価
- 売上のシェア率
なぜこの売上が上がるのか・平均単価の根拠などは、後ほど出てくる売上高に関連してくるので適当な数字は書かないでください。
私が書いた取扱商品・サービス内容
- 不動産仲介手数料(平均単価400,000円) 売上シェア93%
- 〇〇紹介料(平均単価400,000円) 売上シェア5%
- コンサルティング費用(月額30,000円〜) 売上シェア2%
セールスポイント
次は取扱商品・サービスのセールスポイントです。
ここでは他社との差別化ポイントなど、自社ならではの取組を書くことが出来れば見栄えが変わります。
こちらも3行あるので、箇条書きで全部埋めれるように考えましょう。
私のセールスポイント
- 〇〇する〇〇力
- 〇〇と行ってきた経験を活かし、お客様に〇〇出来る
- 〇〇を〇〇する事を活かした〇〇
販売ターゲット・販売戦略
次は販売ターゲット・販売戦略です。
いくらセールスポイントがあったとしても、ターゲットが定まっていなかったり戦略がないと意味がありません。
自分で考えた事業内容なので明確な答えを出すようにしましょう。
こちらも3行あるので、全部埋める事を心がけてください。
私の販売ターゲット・販売戦略
- 〇〇を軸に成約していく
- 〇〇を活用して〇〇し、売上単価を上げる
- 〇〇と〇〇の両軸で集客強化する(自作)
私の場合、比較的に先行投資をせずに売上を立てれるようにしたので、自分で出来ることは自分で行うようにしました。
競合・市場など企業を取り巻く状況
次は競合・市場など企業を取り巻く状況についてです。
これまでは自社の事業内容・自社の販売戦略だけでしたが、会社を経営していく上で必ず競合が存在します。
他社や市場の分析が出来ていないと、独りよがりの経営戦略になってしまうので事業プランが頼りなく見えます。
自分の事業を冷静に見て、考えましょう。
私が書いた内容
- 当社の事業内容を行っている不動産業者は少ないので、継続性のあるビジネスモデルになっている
取引先・取引関係等
次は取引先・取引関係等について記入します。
記入項目
- 販売先
- 仕入先
- 外注先
- 人件費の支払
私の場合、不動産仲介業がメイン事業のため、仕入先と外注先は空白でした。
ここでもシェア率を記入しないといけないので、上記で書いたものと同じ数字を記入しましょう。
私が書いた内容
- 〇〇 シェア率93% 回収・支払の条件(空白)
- 〇〇 シェア率5% 回収・支払の条件(末〆 翌月末)
- ほか1社 シェア率2%
記入欄が2行しかないので、シェア率が多い2つの事業を書いておきましょう。
ただ、正直これだけでは売上の根拠として弱すぎるので私は追加資料を作成しました。
詳しくは後ほど解説します。
人件費の支払
最後は人件費の支払についてですが、自社の支払日を書けば大丈夫です。
私は末締め25日払にして、ボーナスの支給月は空白にしました。
従業員
ここから右ページに移りますが、まずは従業員についてですが、法人と個人で若干記入場所が違います。
常勤役員の人数
ここは法人で不動産業を行う場合のみ記入しましょう。
私の場合、1人で法人を立ち上げたので「1名」でした。
従業員数
次に従業員数ですが、重要なポイントは3ヶ月以上継続している(していく予定)人数を記入する事です。
まずは全体の人数を記入して、その横に家族従業員とパート従業員を記入します。
必要に応じて記入しましょう。
私は1人で開業したので空白で提出しました。
お借入の状況
次は借入の状況です。
法人の場合でも代表者に借入があれば記入する必要があります。
チェック項目
- 事業
- 住宅
- 車
- 教育
- カード
- その他
私は住宅ローンがあったので、借入残高と年間返済額を記入しました。
住宅ローンが残っている場合は返済予定表が必要になるので準備しておきましょう。
必要な資金と調達方法
次は必要な資金と調達方法についてですが、創業計画書には2つの資金と4つの資金調達方法が書かれています。
資金と調達方法の金額は同じにする
上記項目から必要に応じて金額を記入していきますが、資金と調達方法の合計額は同じにしないといけません。
そのため、以下の流れで記入するとスムーズに出来ます。
- 設備資金と運転資金を算出する
- 自己資金を算出する
- 他の借入金額を算出する
設備資金には見積書が必要
とはいえ、すぐに設備資金を書くことが出来ません。
何故なら設備資金を書くためには見積書が必要になるからです。
また、見積書をもらうには最低でも3−4日間かかるので事前準備しておきましょう。
私の資金と調達方法
実際に私の創業計画書に記入した、資金と調達方法について記載します。
資金合計:712万円
- 設備資金:352万円
- 運転資金:360万円
調達金合計:712万円
- 自己資金:212万円
- 日本政策金融公庫からの借入:500万円
詳しい内容を知りたい場合は、個別にコンサルティングをご依頼ください。
事業の見通し(月平均)
創業計画書において大事な売上は、事業の見通し(月平均)に記入しますが、基本的に「創業当初」と「1年後または軌道に乗った後」の2ヶ月分必要です。
その中で以下の内容を書かないといけません。
売上
- 売上高①
- 売原価②(仕入高)
経費
- 人件費 ※
- 家賃
- 支払利息
- その他
利益:自動的に算出されます
※ 個人事業主の場合、事業主の分は含めませんので注意が必要です
創業計画書には2ヶ月間分しか記入する場所がありませんが、事業は毎月継続していきますので追加資料で月別収支計画書は出したほうが良いです。
自由記述欄
最後には自由記述欄がありますが、ここには以下の内容が記載されています。
追加でアピールしたいこと、事業を行う上での悩み、欲しいアドバイス等
基本的に今回解説した内容をもとに作ってもらえば、創業計画書+追加資料でかなり濃度の高い書類が出来上がっています。
ただ、ここを空白のままではもったいないので、記入しておきましょう。
私が書いた自由記述欄
会社設立や名称に関する想い等を書きましたが、想いが強すぎて追加資料として提出しました。
まとめ
今回は、不動産業の創業融資で500万円の融資が通った創業計画書の書き方について解説しました。
創業計画書
- 創業の動機
- 経営者の略歴等
- 取扱商品・サービス
- 取引先・取引関係等
- 従業員
- お借入の状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し(月平均)
- 自由記述欄
私は創業融資を受けた中で感じたことは、面談よりも創業計画書の中身が大事だということです。
基本的に日本政策金融公庫はお金を貸したいと思っているので、創業計画書を充実させることで安心させることができます。
その結果、面談前からお金を貸す前提で代表者の人柄や事業内容の再確認として簡単な質問をしてきます。
創業計画書をしっかりと書いていれば、聞かれる確率の高い質問を回避することが出来るので無駄な労力が減ります。
担当者を味方につけることができれば、私が出来たように面談後3日間で融資を通すことも可能です。
自分一人で悩んで考えることも良いですが、経験者から学んで一緒に組み立てていくほうが効率も良いでしょう。
当社では不動産の開業に関するコンサルティングを行っているので、お困りの場合はお気軽にお問い合わせください。